「川柳作句入門」北野邦生(一部公開)

 

目 次

 

一、はじめに ………………………………………3
■ 川柳文芸の発祥
二、川柳の簡単な作り方 …………………………4
三段跳び式作句法
三、川柳作句の基本的な心得 ……………………4
■ 文芸としての本格川柳
■ 現代国語で表す
■ 川柳と俳句の違い
■ 川柳は「十七音の文芸」
■ 五七五は音(おん)の数
■ 五七五のリズムが基本
■ 五七五を創るから文芸
■ 破調句の問題点
■ 句を書くときの心得
■ 句会等での用語
四、川柳作句上達の心得 …………………………13
■ 川柳の三要素とは
■ 川柳の持ち味は
■ 川柳の題材探し
■ 川柳で人間を詠む
■ 動植物で人間を詠む
■ 語句を選ぶ
■ 下五の工夫
■ 助詞を生かす
■ 作句の姿勢
■ 作句に向く言葉
■ うけない川柳
■ 見直しのポイント
五、川柳作句の課題 ………………………………42
■ 川柳という文芸
■ 川柳文芸への誤解・錯覚
■ 川柳もどきの句
■ 読者がしらける句
■ 名言解説句
■ 名言と名場面
■ 川柳は五七五のドラマ
■ 川柳の「起承転結」
■ 川柳の「序破急
■ 熟字訓・当て字・義訓
六、添削指導例 ……………………………………52
七、参考作品 ………………………………………56
八、おわりに ………………………………………58

 

 

一、はじめに
■ 川柳文芸の発祥

 

 そもそも川柳文芸の発祥は…といっても、歴史的に深入りする必要はありませんから簡単に説明します。

 

 今のように「川柳」と呼ばれるようになったのは明治になってからで、江戸時代には「前句付(まえくづけ)」と呼ばれていました。
 前句付の「前句」とは、いわゆる「題」のことです。
 今だったら、例えば「美しい」と題を出しますが、江戸時代には「美しきこと美しきこと」というように、七七の形で前句(題)が出され、これに五七五の句を付けて、五七五七七の短歌の形で完成させるものでした。
 このときの五七五は、前句に付けられるので「付句(つけく)」と呼ばれていました。
 例えば、次のような作り方をして楽しまれていたのです。

 

・出された「前句」七七
  「座りこそすれ座りこそすれ」
・付けられた「付句」五七五
  「寝ていても団扇の動く親心」
・完成されたもの(短歌の形)
  「寝ていても団扇の動く親心座りこそすれ座りこそすれ」

 

 しかし、のちには付句が前句から独立するようになりました。つまり、付句の五七五が前句の七七から離れて一人歩きするようになっていったのです。
 この付句から川柳という文芸(古川柳)が発祥したわけです。
 そして、当時の名選者であった柄井八右衛門の雅号「川柳」が、そのまま今の川柳という文芸(現代川柳)の呼び方になっているのです。