北野邦生歌集「人間模様」(一部公開)

北野邦生 歌集「人間模様」(一部公開)

 歌集「人間模様」六一八首の前書きに代えて  北 野 邦 生

 

 私の短歌は、十七音字の俳句・川柳では詠み切れない喜怒哀楽と真善美を、五感で把握し詠み込む短詩である。その表記法は、現代人に共通する口語体・新仮名遣いを基本としている。
 短歌は、老若男女の誰もが親しめる文芸であって欲しいと思う。何れにしても、井戸の中に籠ったままでは、短歌を詠むことは難しいと考えている。
 前書きとして、是非、一首付け足しておきたい。
        人間を詠みし歌集の誕生日平成元号最終日かな

 

 

子育てを動物園で教えられママ友たちは我が家へ急ぐ

 

教室の広さ淋しい春休み一人ひとりの机を撫でる

 

呼吸する土を五感で確かめて五粒の種を愛しく寝かす

 

激論のコップの泡が溢れ出すどうでもいいさ早く飲めよと

 

階段を昇り降りする子の様子初恋に惑う芝居にも見えて

 

口挟む余地を与えぬ三姉妹まるで河原の藪スズメなり