出る者
絵かきの少年
王様
大臣
家来1 2 3 4
農夫
農民たち(声)
女の子(客席から)
子どもたち(客席から)1 2 3 4
客席に、劇が始まるアナウンスがあると、幕の前に絵かきの少年が出てくる。
少年:こんにちは。ぼく、絵かきの少年です。今日は、ぼくのかいた絵を、みなさんにぜひ見ていただきたくて持ってきました。え? 何にも持っていないじゃないかって? ははは。ちゃんと持ってきてますよ、ほら!(幕を開ける)
舞台は、西洋のお城の中。
王様の部屋の真ん中の一段高くなっているところに、王様が座る立派な腰掛けがあり、そのわきには、これまた立派なテーブルが置かれてある。
幕を開けても、出ている者は動かない。
王様は、立派な腰掛に腰を下ろそうとしたまままであり、家来たちは、きらきら光る青い大きな箱を重そうに運んできたところで止まっている。ちょうど、テレビ画面が同じ場面で止まったままであるように。
少年:みなさん、こんなすばらしい絵を見たことがありますか? まるで、おしばいの舞台でも見ているような気がするでしょう。え? 何の絵かって? これはぼくが作った物語の絵です。そうだ、ついでにこの絵の物語についてお話ししましょう。(舞台の右はしに下がる)むかし、海の向こうに小さな国がありました。その国の王様には、先ぞ代々の王様たちから引きついだ金や銀、ダイヤモンドなどの宝物がたくさんありました。王様はその宝物を、がんじょうな宝箱につめて、夜に寝るときにはまくらもとに運ばせて、その上、家来たちに寝ずの番をさせておりました。だけど、それでも安心できず、朝になると必ず、自分で箱の中の宝物を数えるのでした。